「ゴーストライダー 破滅への道」を読んだので感想を


1、バイクに乗る

2、悪人を裁き、自らも罪に苦しむ

3、骸骨が象徴

以上の要素を兼ね揃えたヒーローというと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?そう、ゴーストライダーですね!連続アメコミレビュー期間(勝手に命名)第3回目は、このゴーストライダー唯一の翻訳コミック「破滅への道」について書いていこうと思います。

まずパッと読んだ感想なのですが、結構話がエグいです。

初代ゴーストライダーことジョニー・ブレイズは毎日のように地獄で悪魔達相手に逃走劇を繰り広げていました。ある時、天使マラキが地獄に現れ、悪魔カザンの討伐と引き換えに彼を地獄から解放する事を約束します。これに乗ったジョニーは二年ぶりに地上に召喚され、地獄の門をくぐり抜けて現実への実体化を目論むカザンを探す旅に出ます。しかしカザンを狙う存在は彼だけではなく、天国と地獄の両方から凶悪な追跡者が彼を追っているのでありました…。

このあらすじだけ見ると、天国やら地獄やらを題材にした作品としてありふれた設定のように思えますが、中身が凄まじくエグい…。詳しくは実際に本を買って読んでもらいたいのですが、もう女子供構わず人が死ぬ死ぬ。それを殺らかしているのが天使の側なんだから賜ったものではない(^_^;)。ヒーロー物において、異常なまでに死人が出ることに嫌悪感を抱くタイプには100%向いてません。(元々ゴーストライダー自体、万人が尊敬するタイプの英雄かと言われれば疑問符がつく存在なので、この作風も悪くありませんが)。

さて、このクレイジーな作品を担当したのはどんな人なのか?表紙の裏を確認してみたところ、作者はあのガース・エニス氏でありました(納得)。エニス氏といえば成人向けレーベルにて情け無用のヴィジランテ(自警団)パニッシャーを復活させたり、言◯綺礼みたいな神父を主人公とした「プリーチャー」という作品を創造した方として有名です。どちらも従来のアメコミでは踏み込むことのなかった独特なリアル感や死生観を醸し出した作品であります。そんな彼が関わった作品が(良い意味で)健全であるはずが無く、ゴーストライダーの特性と氏の得意とする「天使と悪魔の倫理的価値観が逆転した世界観」を融合した作品に仕上がっておりました。

救いのない戦士の物語のこの凶悪なエッセンスが加わったためか、後半ともなれば天使と悪魔の思惑に人間側の暗躍までもが入り乱れる乱戦状態に突入し、ライダーの戦いも結局は彼らの手の内にあったものと判明して、バッドエンドに終わります。前半のエグさに耐えられたとしても、ここでリタイアしてしまうという人が出てくることでしょう…。

では、最後にまとめを。上にも書いた通り、ぶっちゃけこれ、アメコミ玄人向けの作品ではかと僕は思います。長らく個人誌の復活が望めなかったゴーストライダーの復権に一役買った作品であることは確かでありますが、それはあくまでも従来のライダーを保ちつつその作家性が見事に合わさった結果だからであります。しかし、天使が近代兵器を駆使して戦うという「レギオン」などにも通づる氏独自の天使感は楽しめるものでありました。グロさに基調を置いた絵柄も抜群にマッチしていました。現状ゴーストライダーの翻訳本はこれしかないので、ドラマ版に便乗してさらに出版数を増やしてほしいものです。