アメコミ コズミック・オデッセイ レビュー

2016年11月13日

反生命方程式の謎が解ける時、宇宙は滅亡する!

先日(…のようで、実は結構前から)映画「ジャスティス・リーグ」の第一弾に登場するヴィランが判明しました。その名も「ステッペンウルフ」。DCコミックにその名を刻んだ大物ヴィラン、ダークサイドの部下で、彼と並び強大な力を保持してる実力者だそうです。ココらへんの原作での事情に詳しくなかった僕はさっそくダークサイドが活躍する本書を購入、その勇姿を目に刻もうと考えました。…まあこれには出なかったんですけどね(笑)。ということで、今回もDCコミックのレビューです。こうDC作品が続くと、多くの方が「Yu.TはDCを贔屓してるんじゃないか?」と疑うかもしれませんがで、誓ってそうではありません。先日までのTwitterネームがちょっと怪しかったですが、そうではありません…たぶん。さて、本作は「クライシスオンインフィニティアース」という有名なクロスオーバー作品の後に描かれた、上述したようにダークサイドが活躍します。80年代当時のDC史を揺れ動かした宇宙事変とは如何に…。

冒頭にて、宇宙の支配を目論むダークサイドは、ついに長年探し求めてい究極の兵器「反生命方程式」の秘密を解き明かします。しかし、そこに書かれていたのは彼が望むような力ではなく、宇宙そのものを滅ぼしかねいない生体兵器の記録だったのです。この事実に驚愕したダークサイドは本来敵であるニューゴッズたちと地球のスーパーヒーローたちに協力を要請、本来相容れぬ存在であった双方は一時的に同盟を組み、この危機に立ち向かうのでありました。

今作最大の見所は、何と言ってもDCでも随一のヴィランであるダークサイドがヒーローと協力することなのですが、正直なところ今作はあまり初心者や宣伝内容に惹かれた方におすすめできる内容ではないと思います。まず宇宙規模の戦いと言う割には話の規模が幾つかの惑星でしか展開されないため、いまいち迫力にかけます。作中でダークサイドの提案により、超人たちが二人一組となって反生命方程式が送り込んだ分身体の攻撃の標的となった惑星の警護に当たるのですが、グリーンランタンが担当した場所以外起こることに対する緊張感があまりなく、危機というものを感じ取りにくかったです。つぎにヒーローたちと協力するニューゴッズの戦士たちの性格が力の驕りゆえに悪く、どいつもこいつも(正確には二人)傲慢で好感がもてません。とくにバットマンの相方となった戦士フォレンジャーを侮辱するシーンや、自らが絶対の強者であるという自惚れを抱くシーンなどによって、彼らに対する印象は最悪のものに近くなりました。ココらへんもう少し上手く演出できなかったのかな…?選民思想への痛烈な批判とも受け取らなくはないが…。まあ、これに関しては「ニューゴッズ」という存在に詳しくない自分の知識不足が問題とも言えなくもありませんが、活躍等をみてもかなり地味で、強さやプライドに見合った実力というものが感じ取れませんでした。
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ニューゴッズの件にも同じことが言えるのですが、今作は露骨に誰かを愚かに描くことで悲劇性の倍増を狙ってるかのように思えました。それが特に顕著なのが、グリーンランタン。今回のランタンは、有名なハル・ジョーダンに代わり、ジョン・シュチュワートが務めます。彼は過去に能力への過信から、街を一つふっ飛ばしているのですが、あろうことかその過信を再び発動させ惑星のみならず一つの星系の破壊を招いてしまいます。う~ん、ちょっと最悪、コレは擁護できない。同行していたマーシャン・マンハンター=ジョン・ジョブズは何も言わずに静かな怒りに拳を握らせ、その場を後にします。この一連の流れはおそらく、ニューゴッズの連中同様力への過信と挫折を描くゆえの描写だったのでしょう…。今作序盤にて、「反生命方程式」の正体が古代人の生み出した知的生命体であり、彼らは自らを過信したゆえに滅びたという説明があることからも、現代のおいてもその過信こそがテーマであるということが明確です。しかし、それを演出するためとは言え、少々キャラ印象を下げてる感が否めめません。ここが一番残念でした。
「※画像は別作品のものです」
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ラストの展開も拍子抜けというか、彼らにしてみれば必死なのでしょうが、アッサリ完結し、壮大な物語の幕引きとしては物足りなさを残すようなものでした。結局、この物語に必要だったものは知識だったのかもしれません。ニューゴッズとは何か?なぜあんな思考をするのか?等々…。もちろん、全てが悪かったわけではありません。力も姿も全く違うバットマンとフォレンジャーが協力して分身を打倒するシーンは燃えましたし、意見の違いによって衝突するスーパーマンとニューゴッズメンバーのオリオン、そして、同名の名の下、ダークサイドが目論む真の計画など、個々の内容で見ていけば非常に魅力満ち溢れています。何とも言えないメンツに、長く続いたエピソードが合わなかったのかもしれませんね…。やはり内容というものは見てみないとわからないものですね。このレビューがこれから購入を検討なさってる方の参考になることを祈ってます。