ウルトラマンタロウ 石川賢版 感想

2016年08月12日

史上最凶のウルトラマンタロウ、開幕

今回紹介するのは、かの名作「ゲッターロボ」や「魔獣戦線」で知られる漫画家石川賢先生がコミカライズを担当した「少年サンデー版 ウルトラマンタロウ」です。ちょっと前に「グロすぎる!」ってことで話題となった本作は「小学一年生」で連載されていた同コミカライズ版とのカップリングで小学館からついに復刊されました。そのハードさは石川賢先生ということのあり折り紙つき、予想通りのグロさでした。
※ネタバレを含みます

あらすじ
キックボクサーを目指して世界中を旅する青年、東(あずま)光太郎。ある日、異常な猟奇事件に遭遇した光太郎は、事の犯人と思われる奇怪な犬を追い詰めるも、逆に絶体絶命の危機に立たされる。死を覚悟した光太郎であったが、突如母と名乗る謎の声に導かれ地球を滅ぼそうとする危機と、それを救う使命を背負ったことを告げられる。九死に一生を得て、超人ウルトラマンタロウとなって戦うことを決意した光太郎は恐ろしき怪物、奇形獣との戦いに打って出るのであった。

あらすじの時点で全く違いますね!何より目を引くのが東(ひがし)ではなく、読みが東(あずま)という点。このタロウは悪い意味で(褒め言葉)石川イズムが発揮されてるため、原作の勧善懲悪方向とは全く異なる展開を迎えており、毎回一筋縄では行かないエピソードが続いていきます。当記事では細かな違いも魅力として紹介していこうと思うので、題目を分けて、書いていきます。

・ウルトラマンの存在
本作で一番違う点その一。ウルトラの母の声に導かれ、その力に覚醒するという経緯は同じでも、その後は全然違います。まず、タロウ以前のウルトラ戦士の話題がなく、タロウ自身も‘ウルトラマン’と呼ばれたことはないため、今作の世界では過去にウルトラマンが現れなかったと仮定できます。また、必殺光線の名前などもなく、ただ無言で体を淡々と倒していきます。
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そして極めつけはその正体。よく話題に上がる、タロウの顔にヒビが入るシーン。ここでその正体が判明します。
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顔に入ったヒビから放たれた光により、ミュータントに操られた子どもたちが正気を取り戻すという場面なのですが、この直後にウルトラの母が現れ、正体を語っていきます。(※余談ですがこのミュータント。頭の形状からしていろいろNGな気がします)
母曰く「はるか昔、まだ人間が猿に近かった頃。ウルトラ戦士は自らとともに宇宙の平和を守る戦士として、未熟な猿人たちに着目し、文化と知恵を与え、その時が来るまで見守ることにした。しかし、時がたち、人間へと進化しながらも苦悩を忘れることができない人類でありましたが、耀かしい未来の為にウルトラ戦士は地球を守り続けているのです。」過保護ですね!つまり本作におけるウルトラ戦士とは、人間に文化を与えた創造主だったわけです。(まるで無限の戦いへ人類を駆り出したゲッター線みたいです)この設定故に、ウルトラ戦士が神秘的な存在以外ということは判明してません。これで宇宙を守る戦いが時天空との決戦だったら本末転倒です。

・怪獣の定義
今作の怪獣は上述しているように「奇形獣」と呼ばれています。(寄生獣とか言わない)正直この名前の時点で嫌な予感しかしませんね。事実キモいです。
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(また)母曰く、「奇形獣は人間の憎悪や悪意を受けて誕生した怪物で、このままの世の中が続けば地球は彼らに蹂躙される」らしいです。また奇形獣の中には異星人も含まれており、ダイナミックプロらしい(?)陰湿な方法で地球を攻撃してきます。例で言えば、上述した子供を操るミュータントや、地球を腐敗させている人間を根絶することが平和に繋がると考えてる異星人など。その侵略方法は如何にして人間を根絶やしにするかということに焦点が置かれてます。ある意味「デビルマン」のデーモン一族に近いです。

・その他
本作で一番大きな違いその二。ZATが登場しない!というか自衛隊以外の防衛手段は登場しません。まあ、ある意味リアル重視といばいいんですかね?個人的はあまり好きなデザインではありませんでしたが、やはりいないのは寂しいです。また、それに伴い、光太郎が寝泊まりする場所が一般人の家となっています。ちなみにカップリングとなっている小学1年生版は年齢制限のためか、オリジナル要素はほぼ皆無で、いつものタロウが楽しめます。

〈まとめ〉
総評としても、良くも悪くも石川賢の作品だったなという印象。正直、ウルトラマンタロウとして見るのは厳しいです。また、ダイナミックプロ系特有の筋肉を異常に強調し、あえて崩して描いてるデッサンもウルトラマンに向いてるとは言えません。オリジナリティという意味では大変魅力的な内容でしたが、コレをおすすめできるのはウルトラファンよりは、石川賢やその作品のファンですね。「へえ~石川先生ってこんなのも描いてたんだ!」という感想が正直最初に漏れたこともそれを裏付けてます。ので、無理をして買うのでなく、ネタとして楽しむことが一番だと思います。