ジャスティスリーグ 魔性の旅路 レビュー

2016年08月5日

リーグ創設五年を迎えたジャスティスリーグ。次なる敵は死者の国?

映画「ジャスティスリーグ」PV公開により、アメコミ熱が再熱した私は早速本屋に直行。数カ月前にレビューした「ジャスティスリーグ 誕生」の続編を手に取ることができました。ということで、約三ヶ月ぶりのアメコミレビューです。よろしくお願いしますm(_ _)
ちなみに、今回も例によってネタバレはしません。

〈あらすじ〉
7人で結成されたヒーローチームが誕生してから数年後、彼らは世界一のヒーローチームとして認められ、世界中の人々に愛されていた。だが、すべての人がそう思っているわけではなかった。無垢な人々を守ろうと努力を重ねても、すべての人を救うことは不可能である。ジャスティス・リーグの面々は、勝利の陰に大いなる敗北の種が植えられていることに気づくことはなった。悲劇を体験して、大きな存在に生まれ変わるのは、ヒーローだけではない。ヴィランもまた同じである。悪が歩む暗き旅路の果てには、ジャスティス・リーグの破滅が待ち構えている……。

今作はあらすじにある通り、第一巻「誕生」から5年後の世界を舞台にしています。その五年でジャスティスリーグの存在は広く世界に浸透し、幾度と無く危機を救ってきました。何もかもが順風満帆に回ってると思われた一方でリーグを危険視する政府側と、神格化する市民と言う極端な考えを持つ人々も現れ始めます。これだけ聞いてると、今年公開された「バットマン対スーパーマン」を思い出す内容ですね。実際、今作のメインとなるテーマは、ヒーローとして成功してきた彼らの挫折と活躍の影に潜む危険性に焦点を合わせたものになってます。そのため、重要となってくる話は中盤まで書かれず、序盤はひたすら彼らの活躍を見ることになります。これは後半と前半の比較という意味合いもあるんでしょう。また、政府側の要請により人気ヒーローであるグリーンアローがリーグに自分をアピールします。これは続編などへの伏線となる描写なんでしょう、正直蛇足に感じましたね。総じて内容を濃くするために要所要所の部分を補強しすぎた感は否めません。

・「誕生」から変わった点
単純なヒーロー物の要素が強かった前作と違い、各キャラクターの人間味が増し人間臭い点が強調されてます。中でもその若さから暴走気味に陥っていたグリーンランタンと肉体を失ったヒーローサイボーグについての掘り下げが強くなったように感じます。前者の場合は周りを考えて行動するようになり、自分たちの迂闊な行動への危険性も認知するようになっています。人間的な成長が最も強く出ていましたね。全編を通してそこが強調されているので、ラストの意外な行動への説得力が増しています。後者については、前作であっさり話題から除外された「肉体への未練」について強調されています。場面の随所にそのことを皮肉ったジョークを口ずさんでます。物語全体としてはワンダーウーマンに焦点があたっており、前作で見れなかった彼女の人間的弱さや戦士としての孤独な側面がまわりの人間関係を通して描かれています。これ等一つ一つの弱さや成長が本作の重要な鍵となっているので、そこに着目して読んでみると、面白みが増します。

〈総評〉
前述した幾つかの蛇足と感じられるものが有るものの、優れたクロスオーバー作品であることは変わりありません。完全な娯楽作である前作とはまた違った意味での面白みや、ヒーローそれぞれが持っている弱さに焦点を当てたストーリーは緊迫感を生みます。また、完璧な超人である彼らだけで平和を守れるわけではないというメッセージも含んでおり、作中においても大事な要素となって機能しています。裏方がいて初めてリーグは完全に機能する・・・。彼らは決して神格化される神のような存在ではなく、同じ人間どうしてとしての協力があって初めて力が発揮できることを説明したかったわけなんですね。つまり本作は、ジャスティスリーグの弱点を題材とした作品だったわけです。今後展開されていく映画シリーズにもないかと影響を与えている可能性がありますので、気になった方は是非チェックしてみてください!