バットマンオリジナルムービー レビュー

2016年05月23日

「コメディの中に隠されたテーマ」 満足度7/10

今回レビューするのは、1966年に放映された映画「バットマン オリジナルムービー」である。
本作は、数ある実写化バットマンの中でも二度目に当たる作品であり、現在までに続くバットマンブームの功労者である。
実際、この作品に影響された者は多く、「ダークナイト」三部作で知られるクリストファー・ノーラン監督もその一人だ。

私もバットマン好きを自称するのなら、見ておかねばならぬという謎の使命感に駆られ、今に至る。
ではストーリーから見てみよう。

〈ストーリー〉
大都市、ゴーダムシティを守るバットマン。
彼は、相棒のロビンとともに日夜正義の為に街をかけていた。
そんなある日、彼らの宿敵であるジョーカー、ペンギン、リドラー(和訳ではナゾラー)、そしてキャットウーマンが手を組み、「極悪帝国」を名乗って挑戦してきた!
狙いは世界平和連合。
このピンチを、バットマンとロビンは切り抜ける事ができるのか?

〈レビュー〉
※今回はネタバレを含みます

さて、記事本編である。
この作品はおおらかな時代のバットマンを原作にしているだけあって、内容はかなりコメディタッチである。
ゆえに、ノーラン版のハードな世界観や、ティム・バートン版のダークファンタジーな要素に慣れてしまった方は、最初のうちは肩透かしを食らうかもしれない。

私も最初は戸惑ってしまた。
ある意味このギャップがこの作品の魅力といえる。
ハードな世界観に飽きてしまった方々には、良い休息の場になるだろう。

何よりもこの作品、テンポが良いのだ。
特に語り草となっている、バットマンが爆弾を抱えて走り回るシーン。
コレが面白い。
あの手この手でバットマンの邪魔になるものが出てくる展開は喜劇としては最高だ(なお、邪魔してくる人々には悪意はない)

他にも近年のバットマンでは見れないシーンが多い。
どれもこれも、視聴者を惹きつける場面であり、見ていて楽しい。
中でも、正体がキャットウーマンであることも知らず、彼女の変装した記者にバットマン=ブルースが本気で惚れ込んでしまうシーンはファン必見だ。
正体を知った後の愕然とする場面も一見の価値がある。

そんなコメディ満載の今作であるが、最後はバットマンらしいカタルシスはしっかりと感じられる内容に仕上がってる。
極悪帝国の野望を阻止したバットマンとロビン。
彼らは人々に気づかれ事無く、静かに基地へ戻っていくことを選択する。
これはノーラン版へと通ずる要素だ。

この記事を書いていて気づいたのだが、彼がいかにこれらの作品に影響を受けたのかつくづく考えてしまう。
それだけのリスペクトを、改めて「ダークナイト」を視聴することで感じることができるだろう。

そして終盤である。
ここで、記事のサブタイトルにもした「隠されたテーマ」について触れることができる。
ペンギン率いる極悪帝国真の目的、それは世界平和連合に参加した各国首脳陣であった。
冷戦まっただ中にあるこの時代では、かなりシビアな内容といえる。
いま見てもこの展開にはヒヤヒヤした。

結局、首脳陣はペンギンが強奪した兵器によって誘拐されてしまい、バットマンはそれを追いかける。
この誘拐の方法というのが、人体を構成している原子を分解し、粉状にしてしまうという恐ろしい物(Dr.マンハッタンとかいうな!)
如何にも当時らしい展開であるが、この設定が素晴らしい方法で活かされてる。

バットマンは首脳陣の奪還に成功する。
しかし、ペンギンたちに拉致されていた別の人間のミスによって、粉状の首脳陣たちの入った試験官が割れてしまう!
この一大事に、各国家は混乱する。
最後の希望として、首脳陣たちの復活を任されたバットマン。
彼らの必死の活動により、見事首脳陣は人間に戻ることができた。

だが、ここで奇妙なことに気付く。
なんと割れた時に各首脳陣の粉が混じったことで、言葉や文化に対する価値観が融合していたのだ。
こうして戦争の危機は回避され、世界は対話の道へと進んでいく。
物語はこうして幕を閉じる。

これ、正直すごいと思った。
粉の設定をこのように使い、最後の最後まで視聴者の度肝を抜き続ける展開もそうだが、なにより融和を劇中で体現しているのが傑作だ。

確かに、フィクションらしいものではあるのだが、今なお問題である文化や人種、そして言葉の壁を乗り越えて行く様子を見ているのは、考えさせられる物がある。

この映画のバットマンも、、間違いなく我々の知る正義のシンボルであり、近年の二作品と同様に重いテーマを背負った戦士だと理解することができる。
断言しよう、ファンのみならず映画愛するすべての人に観てもらいたい作品であると・・。

〈まとめ〉
すこしまとめの作業に苦労したが、面白い作品は間違いない。

上述したテーマもそうであるが、クラシックなメカ要素などもこの映画の見どころで楽しみ方何倍にも膨らむ。
いずれにせよ、理解できたことは、バットマンはあらゆる調理が可能なヒーローであり、作風はどうあれ重いテーマを背負わせることでその魅力が高まるということだ。

・・ということでみなさま、また次回の記事でお会いしましょう!