実写版トランスフォーマー総括


ついに最新作「最後の騎士王」の公開目前に迫ってきましたね。これまで何度も考察記事を更新し、そのたびにそよが外れて言ったという草すら生えない状況が続きましたが、今回はそんな失態を犯しません。まあ、今回も恒例のシリーズ総括記事になるので、よっぽどのことがない限り間違った、あるいは失敗なんてないんですがね…。ということでシリーズ総括です。気づけばトランスフォーマーも長寿作品。そろそろ初心者の方にも配慮が難しくなってきたころだと思われます。ので、個人的感想を交えた紹介を自由気ままに書いていきます。

 

【トランスフォーマー】

太古の昔。宇宙のかなたにある惑星「サイバトロン」。そこは、金属の体をもった宇宙人「トランスフォーマー」が存在する世界だった。トランスフォーマーたちは平和を維持してきたが、残忍で暴力的な戦士メガトロン率いる軍団「デュセプティコン」の攻撃にさらされることとなった。長く続いたこの戦いによって、惑星は枯渇し、死を待つだけの死の世界となった。そんな時、惑星の力を司る「オールスパーク」が宇宙で行方不明となった。平和を愛する若き戦士オプティマス・プライム率いる「オートボット」はサイバトロン再建とディセプティコン打倒のために、このオールスパークを求め、無限の宇宙に旅立つのであった…。

07年に封切された今作を映画館で鑑賞したとき、僕は度肝を抜かされました。あのトランスフォーマーがほんとに実写で動いている・・・。この興奮は計り知れず、実際に幼少期にアニメシリーズを経験したことのある人ならリアリティを重視した複雑な機構の彼らが一つ動作を取っただけでも感動することでしょう。それほどの衝撃を受けたことを今でも覚えています。

そう思われても仕方のないくらい、トランスフォーマーたちの実写化は鬼門といわれてきたのです。ハリウッドの破壊大帝マイケル・ベイ監督はそれを実現させました。得意の爆破アクションや迫力を重視した作風を存分に生かしたそれは、マイケル印一色の染まる一方で、見事の彼らの戦いを蘇らせてくれたのです。この当時は、「ジュラシックパーク」や「スターウォーズ新三部作」で培われてきたCG技術がさらに熟成され始めた年としても有名で、数多くのCG 大作映画が誕生したことも記憶に新しいです。しかし、その中でも、このトランスフォーマーの誕生は歴史に変革を言っても過言ではなく、映画芸術の映像表現において重要な立ち位置として今でも輝き続けています。

さて、映画である以上肝心の物語はどうだったでしょうか。これも悪くはなかったですね(ただし、マイケル・ベイ的な意味で)。破壊を容赦なく行うベイ監督は、しかしストーリー製作について少々難のある監督としても有名で、日本で言う坂本監督に近い感性の持ち主と言えました。が、ことTFに関してはその成分がうまく作用したといえます。G1世界観をベースに敷いたストーリーラインはもともと複雑な構造を必要としないシンプルなものであり、少々味気ないものの勧善懲悪ものとしては中々の完成度を誇っていました。また、しばしテーマとされる人類とTFたちとの確執も短いながらも挿入されており、その関係は一筋縄ではいかないことが早くも示唆されていました。まあ、当時は今に続く「最終三部作」の構想なんてなかった思われるので、これも従来の作風に基づいた要素として作中に加えたのでしょう。しかし、そういった細かな要素が絡み合って、この名作が誕生したことは確かであり、これが入門作にして最もきれいに纏まった作品であることは変わりないでしょう。

 

【トランスフォーマー リベンジ】

メガトロンの死とオールスパーク消滅を持ってトランスフォーマーたちの戦争は終わりを迎えた。しかし、オールスパークの欠片から放たれた知識の一部が再び人類に災いを呼び起こす。デュセプティコンの影の権力者にして、メガトロンのマスターであるザ・フォールンは、地球に隠されたとされるトランスフォーマーの秘宝「マトリクス」を狙い、進軍を開始する。一方、復活したメガトロン率いるデュセプティコン残党軍も続々と数を増やしていっており、総攻撃の末ついに宿敵オプティマス・プライムを死に至らしめる。救世主を失った人類に後はなし…誰もがそういった絶望に包まれる中、マトリクスの発見が唯一の鍵と判明する。かくして、ディセプティコンと人類とのマトリクス争奪戦が幕を開けたのであった。

前作よりさらにパワーアップしたシリーズ第二弾。地球の過去とやたらめったら関わるようになったのもこの作品から。…そして微妙におかしくなってきたのも本作から。僕の超個人的な推測から言わせてもらうと、おそらく今作までは企画段階に存在した正当な続編であると考えています。何でかって、今作までは前作とのつながりを明確化しており、TFにおいて重要視されているマトリクスを話の中心として据えているからです。また、オプティマスの死と再生という「ザ・ムービー」彷彿させるシナリオもその証拠付けに一役買ってます。つまり、実写版TFは実質この二作で完成しているのです。ゆえに、中盤から終盤にかけての謎解きや戦闘シーンは程よく緊張し、また飽きない工夫もそこらじゅうに仕込まれています。

…ああ、シリーズ紹介のつもりが、いつの間にか「ここまで見れば良いよ」という助言的な内容になってしまった。正直いいますと、今作で満足した方は個々で視聴を切ってもいいです。それくらい完成しています。これ以降のシリーズを楽しむには、矛盾や後付を楽しんで受け入れられるゆでたまご的な思考力を必要とされます(それもかなり高度な)。ので、ドラマにおける整合性などを重視したいという方は、ここまでの鑑賞をお勧めしたいですね。

 

【トランスフォーマー ダークサイド・ムーン】

フォールンの襲来は、人類とトランスフォーマーの謎をさらに深める結果となった。そんな時、米国政府は各地で不穏な動きを見せるデュセプティコンの調査を進め、その目的が月に存在する「遺跡」にあることを突き止める。この任務を受けたオプティマスたちは月面へと向かう。そこで発見したものとは、遥か昔に地球へ向かう途中で消息を立った伝説の指揮官センチネル・プライムであった。恩師センチネルとの再会を喜ぶオプティマス一行。しかし、そこに再びメガトロンたちの間の手が迫る。彼らの目的は、センチネルが持ち込んだ物質転送装置であった。サイバトロンを救うためにこの地球を犠牲にささげようと目論むデュセプティコンはオートボットたちと激しい戦いを繰り広げる。オプティマス、センチネルもこれに参戦する。だが、センチネルの驚くべき行動によって事態は急変する。彼は地球へ不時着する前のメガトロンと取引を交わしていたのだった…。

シリーズ第三弾。はっきりいって駄作、そして蛇足このサブタイトルは多くのTF ファンを騙したのだ!!…なんて個人的問題はどうでも良いのですが、今作は後の「ロスと・エイジ」に通ずる過剰な設定拡張と整合性崩壊の戦犯として有名であり、マイケル・ベイの悪い癖である「アクションのためならドラマを犠牲にする」という側面がこれでもかと発揮されています。それだけに全体的に後付け感の強いストーリーとなっており、いちいちネタが空回りするキャラクターも魅力がない。あげく最大のウリであるトランスフォーマーたちの戦いも勢い任せでカタルシスに欠け、物足りなさを感じるというどうしようもない内容とです。そんなこんなだから、公開当時の評価は散々で、駆け足気味のラストは多くのファンを失望させ、シリーズは再び終わりを迎えるのか?と噂されるほどでした。…、まあ、その続編がさらにヤバい爆弾を抱えて登場するとは誰も想像できませんよね。

 

【トランスフォーマー ロスト・エイジ】

謀反を起こしたセンチネルとの決戦から数年。かつての救世主であるトランスフォーマーは人類から追われる存在としてその身を隠していた。かつては良きパートナーとして人間とともに戦ったオートボットの戦士たちもその例外ではなく、ある者は処刑対象として抹殺され、またある者は長くその身を隠すことになった。若きリーダーオプティマス・プライムも身を隠した一人であり、かつての彼では考えられないほどその精神は荒れていた。だが、新たなボディを得、ガルバトロンとして復活したメガトロンの存在と、トランスフォーマー討伐の黒幕ロック・ダウンの襲来が彼を変える。人類の救世主ではなく、地球の救世主として立ち上がったオートボットは、再び力をつけたデュセプティコンたちと激戦を繰り広げることとなった・・・。

シリーズ第四弾にして最大の駄作。もういい加減にしてくれという観客の興味を引くために、ついに製作は禁忌を犯した!!それこそがトランスフォーマーたちを悪役に仕立て上げること。…ううむ、微妙である。こんなことでしか観客の興味が引けなかったという事実は今更ながら残念極まりない。こういったヒーロー逆転やアンチヒーロー的なテイストはそれまでの過程がきれいに描かれてるからこそ効果を発揮するものでって、マイケル・ベイの理想をこれでもかと体現したTFシリーズにおいてはむしろマイナスにしか作用しない。その結果がこの作品でありました。あらすじにもあるように、前半のオプティマスのやさぐれ具合は酷いもので、ヒーローの一番見たくない姿をそのまんま映像化してくれました。まずこれでドン引きするんですよね。で、あっさり人類を信じるオプティマスにもまたドン引き。そして恩知らずな人類の行いにもドン引きと、全編通してガッカリの嵐でした。

そんな監督の負の側面を前面に押し出してるだけあって、アクションも又酷く、本来だったら興奮が収まらないであろう爆破シーンも冗長で退屈、その他アクションも感情移入不能な新規キャラによるものしかなく、素直に喜べなかったという具合。おまけに露骨に何かと話題になっていたジョ○ズのファンや中国市場に媚びた構成となっており滑稽さを通り越して、もはや乾いた笑いが出るほど…。いったいどこで間違ってしまったのか?

そして、最後の希望であるストーリーも案の定後付けだけの蛇足に過ぎず、序盤の古代の地球での中途半端な演出はまだ温い方で、あからさまに続編への持越しと思われる描写や整合性を無視した展開がバンバン登場しあきれ返るくらいでした。しかもその滅茶苦茶な展開の被害者が本作でもっとも重要な位置づけである恐竜型トランスフォーマー「ダイノボット」達なんだから質が悪い。通常、この手の演出を用いるなら、先にいくつかの回答を提示してからの方が良いと思われるのですが、破壊の帝王の頭には「説明」の二文字がなかったと見れますね。

このように、期待された作品でありながら、それを見事にスルーし、いらない謎を増やすに終わりました。まあ、そんな前作からでも期待できてしまう予告を作ってしまうのだから、やはりマイケル・ベイは凄いとしか言いようがないですね…。

 

【まとめ】

以上、トランスフォーマーシリーズ総括でした。見事なまでに批判の嵐でしたね。こうやって、改めて歴史を見返してみると如何に行き当たりばったりで製作してきたかが見て取れますね。中にはそれが好きで来ている方もいらっしゃると思いますが、やはりシリーズとして製作する以上、最低限の整合性は守ってほしいですね。最新作「最後の騎士王」がそうならないよう祈っております(え?もう無理!!)。

最後に。正直言うと僕は人類とTFが太古の昔から密接に関わってきたという設定はいらないと考えています。確かに「リベンジ」にてその関係性は示唆されました。しかしそれは人類が干渉しない範疇の出来事であり、それを越える展開を作るということは、今までの積み重ねその物の崩壊に直結する可能性も秘めています。ので、これ以上の無駄な世界観拡張はやめてほしいですね。その欲望さえ抑えれば、巻き返しができるのではないかと、密かに期待している僕でありました。