懐かしきヒーロー「グリーンホーネット」のリメイク版感想

2017年05月18日

非常に模範的なヒーロー映画

数ヶ月前、ツイッター上で怪鳥人間バットマンとドラマ版グリーン・ホーネットのコラボ作品がスタートするということで大変話題となりました。グリーン・ホーネット、それはバットマンやスーパーマン同様長い歴史をもつヒーローであり、その期限はラジオドラマにあります。後に、TV版バットマンの成功によって正式にドラマ版がスタート、まだ無名だったブルース・リーの出世作として今では有名です。今回紹介する映画は、そんなヒーロー、グリーン・ホーネットのハリウッド版であります。名前と歴史は知っていても詳しい内容を知らなかった僕は以前より今作が気になっており、ようやく視聴するに至りました。

【あらすじ】

ロサンゼルスの新聞社の社長の息子・ブリットは父が蜂に刺されショック死したことがきっかけに急遽、社長の座についた。ブリットは父の運転手をしていた上海出身の日本人でエンジニア兼バリスタのカトーとの出会いをきっかけにそれまでの放蕩ぶりを反省して正義感に目覚め、「ロスから悪党を消す」ことを誓う。ふたりは「発明家」でもあるカトーが開発したスーパーマシン「ブラック・ビューティー」を愛車に、濃緑の仮面とスーツに身を包んだ「グリーン・ホーネット」として悪党たちに挑む。 しかし、新しく秘書として雇ったセクシーなインテリ美女をめぐり、ブリットとカトーの間には不協和音が生じる。

やがてブリットは父の死に「ロスの暗黒街の大物」がかかわっていることを知り、これに立ち向かおうとする…。

(ウィキペディアからの引用)

さて、あらすじにもある通り本作は典型的なアメリカンヒーローであります。大企業のドラ息子と多彩な才能を持ち合わせる相棒との組み合わせは王道のそれであり、単純で面白いものとなっています。また、ダメな主人公が視野の狭かった今までの人生を反省し、父から引き継いだ新聞を通して真実に目を向けていくという展開も、この手の「一般人がヒーローになる」系の作品では理由づけとしては独特でありつつ、説得力のあるものといえますね。全体的な出来としては、凡作に留まってはいるものの、その模範的な構成と随所に挟まれる演出が他の作品との差別化を成功させています。

こういった独特な点は、ヒーロー物の肝ともいえるアクションにも見ることができます。特に、ホーネットのようなヒーローの場合は単体での行動よりもユニークなガジェットによる戦いや、改造車を用いた激しいカーチェイス等がウリとなってくる場合が多いです(個人的解釈あり)。当然、本作もその例に漏れず、ガジェットやボンドカー並みの改造車によるカーアクションが満載であります。この要素はただ唐突に出てくるのではなく、改造に至るまでの過程を丹念に描いた上で構築されたものになってます。だからと言って肉体的なアクションがおざなりになっているわけではなく、これまたしっかり魅せてくれるものであったりします。相棒のカトーは武術の達人でもあるのですが、この超人的な身体の力を使ったアクションが、演出も相まって、他のヒーロー映画と一線を画するほどもものとなっています。特に後半の暗闇でのアクションは必見ものといえましょう。

このように、突出してる点と成長劇、アクションとしての平凡さを兼ねそろえる本作は非常にバランスの良い内容に仕上がってるといえ、ヒーロー映画初心者の方でも安心して物語内にのめり込めるような配慮が随所になされています。しかし、配慮が効いただけの作品には留まっておらず、旧作を知っていればニヤリとしてしまう要素もふんだんに含んでおります(大半は相棒のネタ。興味がある方はぜひwikiでググってね)。

ただ、残念な点を挙げるとするならばそれは敵のインパクト不足。これ、ヒーローが主役の作品としては結構致命的なものにも思えますし、その主たる原因は作中での演出不足に集中してることだったりします。今作の敵をざっくり説明すると狂ったコメディアンなんですね。似てるやつを挙げるとすればパニッシャーのジグ・ソウやデアデビルのブルズアイなんかが該当します。コメディアン、なんて書き方をするとバットマンシリーズのジョーカーが浮かんでくる人も多いかもしれませんが、こいつらはそこまで頭もよくなければ理論派、理性派でもありません。あるのはただ野性的な狂気と、自分を絶対の存在としよとする演出家的な側面。それだけであります。まあ、これが台詞越しに伝わってくるのはまだ良いのですが、行動がそれに伴ってこないと、途端に小物くさいチンピラに成り下がってきます。本作の場合は演出でそこを誤魔化したりしてますが、決着に至るまでの展開を加味してもやってることは大したことなく、悉くインパクトに欠けるものばかり。まあ、昨今のヒーローの敵が壮大になりすぎてるゆえに相対的な評を下げたとも考えられますし、自警団レベルのヒーローが活躍する作品としては適役だったと言えなくもありません。しかし、それにしてももう少し悪としての側面を強調してもいいと思いますし、変に情の移るような描写は挿入しなくてよかった思わざるを得ませんね。

もう一つ残念な点があります。先にもあげたとおり、グリーンホーネットは屑っぽい生活に浸っていた世間知らずが真実を追う勇気に目覚めるという内容の作品なのですが、ここに至るまでの主人公の無能、屑っぷりが極端過ぎることが個人的にはマイナスに思えましたね。確かに、覚醒に至るまでの生活を低く描くのは常套手段(?)ですし、僕自身も好きな部類に入ります。しかし、それにしてもやりすぎではないかなと……。相対的に相棒キャラの有能っぷりをアピールするためにも、この点はある意味必須ともいえるでしょう。ですが、描き方一つでここで抱く感情は変わってきます。そして、それをちょっとアダルティな方向で濁そうとするのも問題ありですね。そこさえ抜けば、成長劇として褒められる構成となっているのですが…。

これらの問題点を要約しますと、両方とも演出の失敗によって損をしてますね。これは非常に惜しい。全体的な構成やテーマ、そして謎解き等の演出が良かっただけに、こういった部分でマイナスな評価が付いてしまうのは残念ですね。これを加味したうえで点をつけるとするならば、五点満点のうち……そうですね、二点ってところですかね。雨アメリカのヒーローの歴史を知るという上では勧めることはできなくもないですが、積極的に見なくてもいい作品ですね。

…じゃあ、また…。