未来戦隊タイムレンジャーという泣ける名作


西暦三千年の未来人と、一人の男が出会った。新しい時を刻むために…

ここ数週間、ジェットマン、ゴーゴーファイブ、そしてダイナマンと「戦隊」に飢えて飢えて仕方のなかった僕は、チェンジマン視聴終了後に観るべき次なる作品を探し求めてました。そんな時に出会ったのが今作「未来戦隊タイムレンジャー」です。元々、友人のイチオシ戦隊としていつかチェックしなければいけない作品で、僕自身も「未来」などのタイムトラベルものを好物としていたことも有り非常に期待していた戦隊でありました。さて、全話完走したうえでのコメントですが…これは文句なしの名作ですね。リアルタイムで視聴していた当時、僕の中で抱いていたタイムレンジャーの印象とは、「とにかくわかりにくい作品」と言うものでした。それもそのはずで、今作は高年齢層をターゲットに据えた作劇が中心となっており、キャラの描き方や物語の筋書きはシンプルなもの、かなり複雑な構成となっています。しかし、ただ複雑なだけで終わらないのが今作の魅力。そういった感情、行動、そして物語に必要な「ご都合主義」に至る部分すべてを丁寧に描くことで、特撮ヒーローで屈指のドラマ作りを実現しており、現時点においてもその作劇の質はトップクラスのものに思えます。今この年となって見返すことができ、本当に良かったと思える作品であったといえますね。この場を借りて、本作を勧めてくれた友人に感謝の言葉を贈りたいです。本当に勧めてくれたありがとうございましたm(_ _)m。さて、前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に移っていきましょう。

 

〈ストーリー〉

時は西暦3000年。タイムワープ技術が確立・実用化されたのはわずか10年ほど前であるが、既に宇宙航行と異星への交流は日常化している。その平和な「今」を守るべく設立された、不法な歴史修正などを監視する公的機関「時間保護局」。ここに一つの警報が鳴り響く。それは1000年間の圧縮冷凍刑を受ける予定の大物マフィアであるドン・ドルネロが、自身の配下ごと日本へ逃亡したというものだった。時間保護局の特殊部隊「タイムレンジャー」隊長のリュウヤはユウリら4人の新人隊員とともに逮捕に向かうが、これはドルネロ一味の策略であり、リュウヤはドルネロの情婦であるリラが変装した偽者。彼らはドルネロが収容されたロンダー刑務所ごと、時間保護局の船と一緒に西暦2000年の日本へと逃亡してしまった。

船から放り出され、西暦2000年の日本に到着したユウリたち。意気消沈する彼らの前に現れたのは、リュウヤに瓜二つの容姿を持つ20世紀人の浅見竜也。ユウリたちは圧縮冷凍を解除されて暴れる刑務所の服役囚たちを鎮圧すべく、唯一残った緊急時用の強化服システムを着用=変身しようとするが、着装システム「クロノチェンジャー」は時間保護局の1チーム規定人数である5人がいなければ初起動できない、という制約がかけられていた。本来ならリュウヤを含めての構成であったため、困った彼らは竜也を半ば強引にメンバーにして変身を遂げ、1人目の囚人の収容に成功。成り行きでタイムレッドになった竜也であったが、「自分の運命は自分で決める」という固い意思の下でタイムレンジャーへの加入を決める。

一方、ユウリたちは時間保護局本部と連絡することに成功するが、本部からはドルネロの逃走によって生じた歴史の歪みを拡大しないため、ドルネロと彼によって「ロンダーズファミリー」と名づけられた服役囚たちを全員逮捕するまで、20世紀に留まるように厳命されてしまう。ユウリたち4人は竜也とともに2000年の現代で暮らしながら、ロンダーズ構成員達の犯罪の阻止と逮捕に取り組むこととなる……。

(ウィキペディアからの引用)

〈感想〉

上述のように本作の魅了は、徹底して人物描写とそこから成り立っているドラマ作りにあるといえます。キャラ一人一人に確かな個性をもたせ、そこから作られるであろう強い側面と弱い側面を存分に活かしきった作劇は単純な言葉で言い表せないほどの魅力を秘めています。その傾向は第二話から早くの現れています。ここでの、未来に帰れなくなった本来のタイムレンジャー四人と、偶然現代で出会ってしまった(現時点では)臨時のタイムレッド=浅見竜也との対比を活かしたやり取りが秀逸の一言。

「未来は変えられなくたって、自分たちの明日くらい変えてやろうぜ!…できるさ!だってさ、次の瞬間何をするか決めるの、どう考えたって自分だろ?」

泣ける。しびれる!あこがry(以下自主規制)。短くはありますが、このセリフこそが端的に「タイムレンジャー」という作品のテーマを表しており、作中のおけるキャラクターの行動原理を代弁する言葉であるといえます。また、単純に良いセリフでも有り、何かに悩んでいる時にふと呟いみたくなる魅力も含んでいますね。

この言葉に触発されたアヤセを含むタイムレンジャーの四人は、竜也とともに現代に戦うことを決め、自分たちの明日をつかむための行動を開始します。…良いですね~。こういう出だしは最高です!また、今作の根底にある「未来を変えるために戦う」というテーマをキャラの掘り下げとしても機能させることで、より深く仲間たちの絆を強調しています。その最も具体的な例となる人物が先程も挙げたタイムブルー=アヤセ。不治の病に侵された彼は、なかばヤケクソ的な理由でタイムレンジャーに志願し、敵であるロンダーズファミリーとの戦いに身を投じるのですが、上述した竜也の「明日を変える」というセリフに可能性を見出し、自分が信じる未来の為に戦うようになります。この事情を知った竜也は以後、時に憎まれ役を買ってでも彼を気遣いつつも、その友情を確かなものへと変えていきます。こういった行動、言動からくる変化は他のメンバーにも明確に表れており、時にそれは無事に未来に帰れるのか?という不安であったり、ロンダーズへの憎しみであったり、仲間たちとの疎外感であったりなど実に様々な形で思いを吐露していきますが、いずれも「明日を変えてみせる」という思いの下、決意を新たにした結束や友情を見せていきます。

このような一切の妥協がない演出、構成を重ねることで丹念に彼らの苦悩と友情を描いていき、空気となっているキャラを出さないことに成功しているといえますね。(まあ正直言うとタイムグリーン=シオンがちその特殊な出生や設定等の事情もあってキャラが薄かったのかなと思ったりします。しかしそれでも、相対的な評価となってしまいますが、一般的な作品に比べれば一個人として強烈な個性を作り上げことを成しているのは、脚本の質の高さの証明ではないかと考えています。)

また、「未来を変えるための戦い」を繰り広げるのはなにもタイムレンジャーだけではありません。その追加戦士にあたるタイムファイヤーや敵組織である犯罪集団ロンダーズファミリーにもそれは該当します。とくにこのタイムファイヤー(ここから超重要)が顕著であり、まさに中盤から登場するもう一人の主役であり、主人公浅見竜也の対比を目的としたャラクターとしての登場を果たしました。そんな彼、タイムファイヤーこと滝沢直人は一般的な家庭に生まれながらもその運命、「庶民」という枠組みから脱することを目的として生きてきました。しかし、権力層の傲慢さや汚さを目の当たりにした彼は生きる世界が違いすぎるという事実を悟り、以後誰よりも力にこだわる男へと変貌。その後、ロンダーズとの戦いを目的として設立されたシティーガーディアンに入隊、この戦いの過程で未来から現れた超兵器Vレックスとその制御装置兼変身器具であるVコマンダーを入手します。

この時点での彼は、受け取り手によっては作中きっての皮肉屋として映るかもしれませんが、そこに至るまでの段階で彼が何を思い、何を目的として生きてきたのかを十分に描くことで、皮肉な言動や行動に説得力を持たせてきました。それは新たなる戦士、タイムファイヤーとなってからも変化しておらず、一貫して第三軍として描かれています。加えて、こういった力への渇望からくる失態や捻じれた思想についても丹念に描写されており、将来的な失墜を思わせる布石が細かく敷かれています。例えば、Vレックスの制御が奪われた回での彼とタイムピンク=ユウリとのやり取り。

「力はいつか裏切るわ」

ズシッとくる重い言葉ですね。この短いやり取りが滝沢直人というキャラクターを端的に表しており、同じ「未来を変える」という目的を持ちながらも、友情を育んできたタイムレンジャーの五人とは決定的に違うということが明確化されています。こういった境遇関係の切なさが目立ち、(傍から見たら)恵まれているはずの運命から無理矢理逃れようとしている竜也のアンチテーゼとして存分にその存在感を発揮していました。

こういったドラマ的側面は敵組織ロンダーズファミリーにも共通しており、犯罪者であり、倒すべき悪であるということをキチンと視聴側に認識させながらも、(身内限定の)義理人情に熱く、どこか憎めない人間的魅力を兼ねそろえたキャラとして見事に描いています。昨今の「悲しい背景があればだいたいの悪が許されてしまう」作品群は見習ってほしいですね。タイムレンジャーにも、それに該当する敵は確かに存在しますが、それでも犯した罪の贖罪はしなければならないという説得力を与えてくれます。

 

お前のことだ仮面ライダードラ〇ブ!!!犯罪者が許されると思ったら大間違いだぞ!わかってんのかぁ!

…ふー、ちょっと暴走してしまいましたね(笑)。さて、次はアクション面です。

 

【アクション】

戦隊作品を語るうえで欠かせないものがこのアクション。本作の場合はその良し悪しについてだいぶ意見が分かれてるようですが、僕の主観(と友人の言葉)からすると、このタイムレンジャーにおけるアクションとは、そのままキャラの成長を表すための要素の一つなのだと思えました。多くの戦隊でもこの「アクションと成長はイコールの関係」というものが見受けられますが、今作はそれが特に顕著に感じられ、全編を通して掘り下げが行われた際にどういった行動を起こすかが見所になっています。

そして、このアクションで特筆すべき点がもう一つ。厳密にはアクションと関係はないのですが、彼らはあくまでも犯罪者を「逮捕」するために戦っています。ゆえに、その範疇を逸脱した行動はご報道であり、そういった事態を避けるための工夫や憎い相手との駆け引き、選択などは手に汗握る物が多く、飽きというものがありません。また、これら一連の行動や創意工夫から、彼らがプロフェッショナルの意識を持ち合わせる戦士なのだと、視聴者側に強く印象付けてくれます。よって、自然に「裁く対象であるが、命までは奪ってはならない」というルールを認識できるようになり、上述した駆け引き絵の近著感が増してきます。この「プロ」を「プロらしく描く」という当たり前のようで難しことを貫き通した作劇は成長という名のアクション要素を含めても、大きく評価されるべきポイントに思えますね。

んで、次は戦隊の醍醐味であるロボ戦です。今作には、近年(?)の戦隊らしく多くのロボが登場します。どれも個性がありますが、なによりも注目されるべき点は最後まで一号ロボにあたるタイムロボ。こいつ、面白いことに三つ(!?)の形態に変形できる機能を持っておりロンダーズの各囚人の戦法に対応した戦いを展開します。これが実に面白い!!弱点を見抜いたうえでの戦法変更によって、毎回毎回のマンネリ化を防ぐそれは、上述した等身大でのアクションにも通じるものを感じますね。まあぶっちゃけ、このタイムロボの活躍っぷりもあり、タイムファイヤーのVレックスはともかく、本来二号ロボとして登場した掛け声がウルトラもどきのタイムシャドーの印象は恐ろしく薄くなってしまい、いささか配慮の足りなさが否めない状態となってしまいました。しかし、そういった不満点を吹き飛ばすほどの魅力がロボ戦にも多く盛り込まれているので、気になるのはシャドーが単なるパワーアップ要員となってしまった数話で収まると思います(効果に個人差あり)。

 

【まとめ】

結論。タイムレンジャーとは…

登場するすべてのキャラクターが自分の思う「未来」のために戦いを繰り広げる作品

…でありました。また、若者たちが繰り広げる秀逸な群青激という側面も強く持ち合わせており、時にそれは友情を強調するために生き、時にそれは自らが拘ってきたものの脆さを知るための場として現れてきます。そういった悲しみ、楽しみ、そして思い出をもとに、仲間たちの未来のために戦う最終回は嘘誇張抜きで泣ける話であり、自分の中にある「未来」や「明日」というものの捉え方を大きく変えてくれるほどの衝撃を与えてくれました。これほどまでの感動と満足感、そして余韻に浸れた作品は「鳥人戦隊ジョットマン」以来でした。(マジで)十数年の時を経てまた観ることが、それも物語のテーマを完全に理解できる状態でそれが達成にできて本当に良かったと感じています。視聴中の思い出話をすれば泣ける場面が数多く浮かんできます。二度目となりますが、今作を進めてくれた友には深く感謝を申し上げたいと思います。ほんとうにありがとうございました。そして、この感動を一人でも多くの方の知ってほしいと深く感じております。これは、スーパー戦隊というジャンルの特撮作品が生み出した傑作です。もちろん、傑作名作の評価は人それぞれであるとは思いますが、これは本当に一度は見てほしい作品です。もし、もしこの記事から興味を持っていただけたら、ぜひ手に取ってもらいたいです。