激走戦隊カーレンジャーは痛快で面白い作品だった


戦う交通安全!!

数週間前のこと、僕は友人と一つのチャレンジを考えました。その名は「ダイレンカーレンチャレンジ」。数多くある戦隊でも、屈指の怪作である「五星戦隊ダイレンジャー」と「激走戦隊カーレンジャー」の二作品を視聴し、どこで精神に限界が来るのかという、ファンにとってはものすごく失礼な挑戦でした。僕はこの時すでにダイレンの凄さ(無論、悪い意味での)は聞いていたこともあり、まだダメージが少なくて済むと思われたカーレンジャーを選択。…とはいうものの、今作の第一話の悪評や凄まじさを友人間から聞いていた僕は見前から辟易してします状態に。なんとか(怖いもの見たさからくる)使命感にかられ視聴を決意しました。案の定その第一話はやっぱり恐ろしい出来で、早くも僕の精神に限界の「げ」の字が浮かんでくるのを感じましたね

…というのは完全なる杞憂に終わり、その後の内容は痛快で明るく、終始楽しめる良作へと変化していきました。これは本当に意外なことだったのですが、当初の予想(というより絶望的な第一話)を裏切るような形でカーレンジャーは作品的に大きな満足感を与えてくれました。やっぱり、作品見てみないと分かんないもんですね。今回はそんな明るい作品「激走戦隊カーレンジャー」について感想を書いていきます。

<ストーリー>

宇宙中を暴れ周り、狙った星を超豪華”花火”にして爆破してしまう宇宙”暴走族” 暴走族ボーゾックが地球からはるか遠く離れたハザード星に襲来し、滅ぼしてしまった。

脱出に成功したハザード星人の少年・ダップは母親が死の直前に語った「星座伝説」の戦士「カーレンジャー」がいるという惑星「地球」に向かい、ボーゾック打倒を誓う。一方、ボーゾックもまた、次なる暴走の舞台を惑星チーキュ(=地球)に定め、手始めにニッポンポン(=日本)を襲うことに。

ダップが辿り着いたのは小さな自動車会社「ペガサス」。彼はここで働く5人の若者に素質を見出し、自身の力「クルマジックパワー」をはじめ、あの手この手でカーレンジャーに変身させていく。最初は乗り気でなかったものの、ボーゾックの本格的侵攻を目撃した5人はカーレンジャーとしてボーゾックと戦う決意を固める。そこまでは良かったのだが、5人はその後も「安月給の上にカーレンジャーまでやらなければならない」ことへの不満を垂れ流したり、個人的な理由で出撃をためらったりとどうにも統率が取れない。一方のボーゾックも、観光気分で日本を訪れたり、地球侵攻以外の個人的な用事を優先したり、時にはカーレンジャーと交流を持ったりと、どことなく気の抜けた戦いが繰り広げられていた。

 

<感想>

今作を語るうえで欠かせないものが破天荒なストーリーです。全編にかけてこの勢いは保たれており、これが後に続く戦隊屈指のネタ作品としての印象と、後述するギャグ要素の形成に一役買ってるといえます。しかし、そんな破天荒さが随所で目立つ本作でありますが、伝えたいことやテーマ等は真に明確化されており、黄金期のジャンプ作品のごとく受け取り手に配慮のきいた作劇が続いてきます。これ、何気ないことかもしれませんが非常に好感が持てる作品構造に思えます。加えて、適度なバランスを保つために時にシリアス(またはそれ風の明るい話)も盛り込まれてる点にも好感が持てましたね。似非シリアス作品は数あれど、こういった「深刻になり過ぎないような適度な重さ」を根本に据え、キャラを掘り下げる話を展開する作品はそう多くないのではないでしょか?とくに、戦士でもなんでもないただの若者がその自覚と誇りをもって戦う物語を作るうえで、これ以上にピッタリな描き方はないと思いますね。

また、今作はいわゆる「ギャグ路線」が目立つ作品として現在では有名です。その理由もわからなくはありませんが、少々その部分だけがピックアップされ過ぎなような気もします。僕の主観も入っていますが、今作のギャグは目立つ処はあれど作中独自の構造軸、必要要素としてしっかりと機能しており言われているほど気にはなりませんでした。そのもっともたる例がボーゾックが巨大化のために用いる芋羊羹です。巨大化に芋羊羹……、これだけ聞くと何とも気の抜けた話に聞こえますが、偶然から発見できたこれにも作中なりの理由づけ、リアリティを持たせているため違和感というものを感じません。

むしろこういった要素があったからこそ、本作は痛快で明るい作品としての体裁が保てた部分があると感じています。例えば、宿敵のボーゾック。こいつ等、近年の解説サイト等の説明ではアホの集まりのような書き方をされますが、その本質は(最低限の礼儀はあるものの)悪であり、ギャグ越しに見ても情け容赦ない集団として描かれています。終盤のとある事情からカーレンジャーと共闘するようになるのですが、そこに至るまで、それこそ後半に行けばいくほどその行為に磨きがかかり、カーレンジャーたちをあと一歩のところまで追いつめるほどの功績を残しています。(余談となりますが僕はこの仲間になる後半の展開を支持していません。それなりの理由や燃える描写はあるものの、いささかご都合過ぎる展開がとなってしまいました。安っぽい共闘劇が苦手な自分にとって、ここはかなりのマイナスポイントに映りましたね。)

しかし、やはり本作の神髄といえるのは明るい話にあります。その明るさに暗さを落とし込むことについては抜群でしたね。代表的な例が途中から登場するシグナルマン(妻子持ち)のゲスト回。彼が主役となる回はだいたいがギャグ6割の通常のノリ4割といった具合なのですが、実は意外と深刻な事態に陥ってることが多かったりします。それが強く表れているのが息子の手紙でシグナルマンが若干ホームシック気味なってしまう回。その回において彼は、故郷に残した息子の姿を地球で親しくなった少年に重ねて、結果としてそれがピンチへとつながってしまいます。(ここでのボーゾックの作戦がふざけてるように見えてかなりエグいのもポイント)。任務に私情を持ち込んでしまった彼はそれを激しく後悔し、少年の母親からの罵倒も甘んじて受け入れます。最終的にカーレンジャーと協力することでこのピンチを乗り越えた彼は故郷の星へと帰っていきます。このように、積み重ねによって描かれた人間関係や作風を保ちながらも、そこへ自然に不条理や困難、それらを含んだ暗さを落とし込ませることがうまいと感じましたね。

 

<アクション面>

さて、いよいよ来ましたアクション面。毎回これを書くのが大変だったりします(笑)。激走戦隊とある通り、カーレンジャーのアクションの特徴はスピーディーな点にあります。個人、または集団戦闘での流れるような戦いは、その練られた構図もあり、一人たりとも邪魔に思えるキャラはいなく飽きるということもありません。また、この「速さ」を意識しているのか、周囲の敵を倒してからの名乗りも面白かったですね。ここからは後々の東映作品へと通ずる工夫が見て取れましたし、単純なかっこよさの面でも抜群でした。こういった「真似したくなるカッコよさ」はヒーロー作品にとって最重要なファクターなのだと再認識できましたね。

また、今作はロボ戦も非常に優秀で、ついつい買いたくなるなるような魅力にあふれています。しかも一号ロボ二号ロボの双方に完璧といえるほどの活躍の機会が与えられており、この観点だけでみれば(僕の見た作品群の中でも)トップに位置する特撮アクションを見せてくれたと感じています。具体的に言うと、剣による攻撃や独特な決めポーズが光る一号ロボ、RVロボはスーパーロボット的なカッコよさ、そして二号ロボであるVRVロボはミニチュア等を生かした特撮や練られた攻撃を繰り出すリアルロボット的なカッコよさを秘めています。特に、VRVロボは、後のゴーゴーファイブに通ずるよな特撮技術、映像美が光る戦いっぷりを見せ、、まさに東映が培ってきた巨大ロボ、メカ特撮の真骨頂的な出来栄えを見て取れます。

 

<まとめ>

作品としての総評は上にある通りで、僕としてかなり好感の持てる作品でした。ですが、ある程度人を選ぶ作品となってしまってるのもまた確かで、このノリが合わない人にはちょっと合わない作風なんだろうなと痛感させられましたね。しかし、それ以上に実感させられたのが間違った先入観を抱いてる人が多いということ。僕も視聴前はそういった層の一人だったので大きなことは言えませんが、上述したように本作のイメージは決してギャグだけではありません。こういった必ずしも語る上で重要ではない部分ばかりが強調されてしまっている現状は残念に思えます。作品を話すで、必ずしもガッチガチの理論武装を固める必要はありませんし、特に本作の場合は気軽な気分で語り合うことが理想的といえます。ですが、あまりにも‘ネタ’方面に振り切った話題はどうなのかと思いましたね……。仕方のないところはあるとは言え、内容的な話をしてみたいな、と感じた今日このごろとマトメでありました。

…ということで、皆さん。ぜひこの機会に「激走戦隊カーレンジャー」を観てみましょう!!