超人機メタルダーは正真正銘の名作だった


君の青春は輝いているか?

先日、「鳥人戦隊ジェットマン」に続き、早すぎた名作との呼び名が高い「超人機メタルダー」を完走しました。スーパーヒーロー作戦や各ムック本などで名前だけは知ってたものの、実際に見たことがなかった本作ですが、その内容は…正真正銘の名作でした。本作は、かの名作、「人造人間キカイダー」のオマージュ作品でもあるのですが、はっきり言うとそのキカイダーを凌ぐ作品ではないかと考えています。それほどまでにドラマの完成度が高く、ただ暗いだけでない希望に満ちた悲劇喜劇を描ききったといえます。

【ストーリー】

第二次世界大戦後、アメリカに渡っていたロボット工学の世界的権威、古賀竜一郎博士が42年ぶりに日本に帰ってきた。彼が帰国したのは、世界の影でうごめく死の商人「ネロス帝国」の存在に気付き、戦死した自分の息子の竜夫をモチーフにした人造人間「超人機」を甦らせるためである。

古賀博士の帰国を知ったネロス帝国の帝王ゴッドネロスは博士を抹殺すべく、配下の四大軍団に出撃を命令した。四大軍団の攻撃により、古賀博士は負傷するが何とか秘密基地シルバーカークスにたどり着き、そこで眠っていたアンドロイドである超人機・剣流星を目覚めさせる。

しかし、博士はシルバーカークスを守り、何も知らない流星に敵の存在と人の死を教えるために自らネロスの凶刃に倒れる。それを見た流星は怒りの叫びを上げ、全エネルギーを開放。超人機メタルダーに瞬転する。しかしメタルダーはその能力を把握できないまま、ヨロイ軍団長クールギンの刃に敗れる。傷つきながらも再び立ち上がるメタルダーは自らの存在を不可思議に思い、叫ぶ。

「風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ! なぜ、この世に生まれたのだ!」と。

こうしてメタルダーとネロス帝国との壮絶な戦いが始まった。

(Wikipediaからの引用)

【ドラマ】

前述したように、本作は石ノ森章太郎先生の傑作、「人造人間キカイダー」のオマージュ作品でもあるため、「心を持った機械の苦悩」や「中途半端な存在ゆえの悲劇」などが主題となって物語が進んでいきます。その傾向が特に顕著なのが序盤で、覚醒したばかりのメタルダーは純粋なままに人や心、夢に興味を持ったり、次第に自分が人間ではないことを意識したような発言を繰り返すようになります。

しかし、キカイダーとの明確な「違い」が現れるのもまた序盤なのです。原作版では、主人公ジローとヒロインのミツコとの悲劇的なラブロマンスや人との交流を描く上での明確な「人間」の比較対象が現れませんでした。一方のメタルダーは(路線変更の関係もあるようなのですが、)比較対象である人物を登場させることで、人でないこと、そして人間以上に人間らしい存在であること強調させた上で、さらに人と機械の交流までも描いているのです。また、孤独だったメタルダーが、ヒロインである舞さんとの出会いを通して多くの人と交流し、「戦争の兵器である超人機」から「みんなのヒーローであるメタルダー」へと成長を遂げてた事も、今作の大きな魅力であり、悲劇と喜劇を重ね持ったヒーローの王道を貫くもののように思えました。

一方で敵組織である「ネロス帝国」にスポットを当てた回も多く、序盤ですらメタルダーが全く登場しない回が存在します。しかし、物足りさと言うものは全く感じるがなく、寧ろメタルダー同様感情を持ったゆえに人間以上に人間臭い彼らネロスの軍団員のドラマに釘付けとなりました。しかも「ただ同情を引く哀れな存在」なのではなく、終始敵のままであっても、夢にために散って行くことに切なさを感じ、結果として印象に強く残る敵となっているのです。加えて、単純な敵組織としてもカッコよくコチラの意味でも印象に残りやすい存在となっています。ネロス各構成員には明確な階級が有り、各軍団トップである「凱聖(がいせい)」のもとに構成されているのですが、彼らが大挙して進軍するOP映像などは圧巻そのものです。残念ながら完全な路線変更後はあまり見られなくなりましたが、強さや魅力はそのままなので安心してください(笑)。

そして、よく話題に挙がるトップガンダー(ネタ元は当然あの映画)に始まり、各軍団員もカッコよさと上述した切なさを兼ね揃えた物が多く、その彼らが繰り広げるドラマに飽きることはまずないでしょう。とくに僕が推すのが、戦闘ロボット軍団凱聖バルスキー。コイツがまたカッコよく、軍団随一のホワイトな上司で兎に角部下の良いところに注目し、信用をなくさない素晴らしい人格者なのです。それだけに、彼とメタルダーとの最終対決は、彼らしい切ない物となっています。また、こういった存在を生み出したものが人間の傲慢さ、であることが皮肉の効いたところであり、全体と通してのテーマの一つとも言えます。

このように、序盤のうちに敵側のドラマを積み重ねることで、終盤の決戦への布石を用意し、結果として中盤以降の「人間」としてのメタルダー=剣流星(つるぎりゅうせい)のドラマに終止できたともいえます。

 

【アクション】

今作におけアクションは、多くのヒーローもの同様、主人公そのものの成長を描く要素であるとともに、そこに人間としての「心」の成長を表す手段としてアクションを用いてるのが大きな特徴と言えます。上述のように、メタルダーは純粋なまでに命や夢を学んでいき、時には学んだことを相手から感じ取り、とどめを刺すことを躊躇うことがあります(この躊躇いが、例年の作品にありがちな「相手を許しましょう」という考えと大きく異なることもポイント)。しかし、後半になるにつれ、この躊躇と言った感情がなくなり、凶悪な相手に対して一切容赦がなくなってきます。つまり、多くの戦いを経たことで、メタルダーは善悪の明確な判断を可能とし、危険な相手に対して果敢に戦うことを学習したのです。それを証明するかの如く、メタルダーは自らの体を活かして新たな技を編み出していきます。このように、特撮のウリであるアクションも、主人公の心の成長の一環として描かれてるのが良い点ですね。

 

【まとめ】

その完成されたドラマと、予測不能な衝撃的なラストは、まさしく名作と呼ばれるだけの魅力を秘めており、ストーリーを何よりも重視する人にはたまらない物であると言えるでしょう。加えて、話題としてあがる路線変更に関してもあまり気になるものではなく、寧ろメタルダーのヒーロー性を高める要素となって機能しており、結果として必要だったものだといえます。また、人の傲慢さ、機械とのあり方などを問題定義を示しながらも、そこに一つの回答を与えた形でメタルダーと仲間たちの交流が描かれていく点も、本作を語る上で重要なことに思えますね。

これはぜひ多くの方に知ってもらいたい作品ですし、記憶に刻まれるべき作品であるといえます。自らの存在意義への問いかけから始まった戦士が、その存在を肯定し、青春を輝かせた物語、まさに傑作でした。