X-MENシリーズ総括


「ローガン」が公開されはや数週間。その内容が気になって、観に行った方も多い方思います。さて、そのローガンが属するX-MENシリーズですがこちらも長期シリーズということがあり、すでにかなり数の作品が製作されています。ゆえに今から興味を持たれた方が参戦しにくいという現状があり、それはローガンからこのシリーズに惹かれた方にも同様の事が言える方思います。そこで今回は、そのX-MENシリーズの総括として、この長大なサーガで何があったのかを纏める記事を書いてこうと思います。題して、「これだけ知ってればあなたもX-MEN完全制覇!!」。…少々ダサいですがご了承ください(笑)

 

【そもそもX-MENとは?】

X-MENは生まれながらに特殊能力を持ったミュータントたちやそのチームの事を示し、誕生は1963年までに遡ります。人種差別を根底に据えたこのシリーズは社会問題のメタフォーとして人気を博し、実際に今作を通して語られた社会的事件は数多くありました。また、登場人物にもそれが反映されてることが多く、X-MENの大物ヴィランはナチスによるホロコーストの被害者であるという設定もあったりします。

※一部追記、修正しました

 

【映画シリーズの誕生】

このシリーズの始まりとなる「X-MEN」が公開されたのは2000年。アメコミ映画というジャンルがドンドン浸透してきた時期であり、現在に至る世界的アメコミ人気の火付け役ともなった作品であります。それ以前に「ブレイド」、「パニッシャー」、そしてDCの看板である「スーパーマン」、「バットマン」等の映画が製作されていますが、このブーム誕生は今作による部分が大きいといえます。ということで、一作ずつの解説に移っていきましょう。

「X-MEN」

人類を超越した力を持つミュータント。彼らは普段、迫害され、疎まれる存在として世間から身を引いて暮らしていた。しかし、人類の抹殺を目論むマグニートを中心としたミュータントの軍団が世界に牙をむいた。かねてより、人類とミュータントの共存を望んできたチャールズ・エグゼビア教授ことプロフェッサーXは各地で優秀なミュータントスカウトしX-MENを結成。マグニート率いる軍団との戦うを始めるのであった。

記念すべき第一作。ヒュー・ジャックマンの当たり役であるウルヴァリンを初めて演じたのも本作であります。今作は第一作ということもあり、ミュータントを取り巻く環境や人間関係、それぞれの思想などが詳細に語られていきます。正直、内容は説明的かつ模範的で、そこまでヒーローとしてカタルシスが語られるほどの作品ではないのです。しかし、ミュータントたちのユニークな能力の数々やそれを活かした戦闘は興奮必須で、魅力に気づくのも時間の問題といえるほどでしょう。さすが海外!…と、別のところを褒めてしまいたくなりますね(笑)。

「X-MEN2」

マグニートとX-MENの戦うは一先ずの終息を迎えた。しかし、新たな敵は人類の中から現れた…。先の戦いでミュータントの存在に危機感を抱いたアメリカ政府は秘密裏に組織された研究機関に要請し、X-MENの捕獲を計画する。旅に出ていたことで間一髪この危機から脱したウルヴァリン以下数名の仲間たちは、拉致された者を救出するために施設がある湖へと向かう。

僕の独断と偏見から判断するに、今作はいわゆる旧三部作中でも最高傑作ではないかと考えています。続編物は大体二作目が大傑作になる(スパイダーマン、バットマンで証明済み)、という法則に従ったとも言えますが本作の根底に存在する新人類であるミュータントと旧人類の関係性にこれほどまで食い込んだのはこれだけでしょう。「過去の過ちを繰り返すか?共に未来を築くか?」。最後のプロフェッサーの言葉にはとてつもない重みを感じます。この問題は、そっくりそのまま多くの差別問題を経験してきた今の世相を反映したものですね。現在もその波が完全に消えたとはとても言えません。ゆえに、この言葉は現実での重みを帯びて我々の方に振りかかって来るように思えますね。

「X-MEN3」

二度にわたるマグニートとの戦いで、ついにミュータントの存在が明確に世界中へと知れ渡った。一部ではこの存在を受け入れようとする動きも見えたが、状況はそう簡単には好転することはなかった。合衆国政府ではミュータントの特殊能力を封印する薬品の開発を推し進め、再び暗躍を開始したマグニートはX-MENたちへ最後の戦いを仕向ける…。ついに、ミュータントと人類の未来をかけた最後の戦いが始まるのであった。

僕の独断と偏見から判断するに、今作はいわゆる旧三部作中でも最駄作となるのではないかと考えてます。続編物は大体三作目が大駄作になる(スパイダーマンやバットマンで証明済み)、という法則に従ったとも言えますがこれほどまでにキャラの扱いや全体の整合性、そして掲げるテーマを有耶無耶にして逃げ出したのはシリーズでも本作だけでしょう。こうなったのも制作を中途半端にして別作品を撮りに逃げた監督の責任でありますが、それにしてもあんまりな出来です。これが数年かけて積み上げてきた作品の出した答えの一つと考えると悲しさいっぱいになります。これだけはマジで観なくていいです、いや、観ないでください。正直、これなら日本特撮の黒歴史、「スーパーヒーロー大戦」とタメを張れる出来映えです。まあ唯一評価できる点を挙げるとすれば、原作の重要エピソードであるフェニックスを再現したことにありますかね。それ以外はすべて蛇足です。ここで生まれた不要要素は後々まで尾を引くことになります。

「ウルヴァリン ZERO」

三本爪をもつ不死身の戦士ウルヴァリン。一世紀以上の長き時間を生きる彼の物語はどこから始まったのか?その知られざる過去が、今作では明らかになってくる…。

X-MENの人気者にして、ヒュー・ジャックマンの当たり役であるウルヴァリンの過去に焦点を当てた作品。この原作となった作品もちゃんと存在し、序章にあたる分は明確に原作を意識した構成となっています。さて、そんな、割と真面目に一キャラクターのオリジンを描いた本作はあんまり評価されてません。その根本的な問題となっているのが、後半に登場するデッドプールの描写にあります。え!?あのおしゃべりがこの映画にも出てるの!!…と、映画でファンになった方は喜ぶかもしれません。しかし、画面に現れたのは似ても似つかぬ醜い姿をさらすキモい怪物。それが本作のデッドプールだったのです。この姿とアクションにファンは失望、後半のグダグダな展開と相まって、歴史に残る失敗として我々の胸に刻まれることなりました。

「ウルヴァリン samurai」

ミュータント消失にいたる暴走を止めるために、最愛の人ジーン・グレイを自らの手で殺めたウルヴァリンことローガンはカナダの山奥深くにこもっていた。しかし、日本のヤクザとの出会いが彼を再び戦いに引き戻す。

出た!X-MENの最駄作!!いや~、これは褒められるところが殆どないんですよ(笑)。時系列としては旧X-MEN3の直後が舞台であり、ジーンの死によって引きこもっていたローガンが再び戦いに身を置くことを決意するという割と重要なものなのですが、それにしても人間関係と(もはや外国映画ではおなじみですが)舞台となる日本の描写が中途半端で、いまいち話に乗れません。また、設定だけなら興奮必須のラストバトルもカタルシスに欠けるもので盛り上がることはありません。少ない見所を挙げるとすればヒュー・ジャックマンが正座をして箸を使って飯を食う、くらいのところしかなくそれ以外は印象に残りにくい作品となってしまいました(そんな本作を撮ったのがまさかローガンの監督だったとは…。いやはや、運命は恐ろしい。)。

「X-MEN ファースト・ジェネレーション」

時は冷戦時代。将来のプロフェッサーXこと若きチャーズル・エグゼビアはミュータントと人類の共存を強く望む日々を送っていた。同じころ、ホロコーストによって殺された母の敵を討つための計画していたエリック・レーンシャー(後のマグニート)は事の首謀者の元にたどり着く。しかし、事の首謀者はチャールズがFBIと共同で調査していたミュータントであり、この冷戦の緊張状態を利用し、世界を混乱に叩き落とす作戦を実行に移そうとしていることが判明する。チャールズに救出されたエリックは人類を信じてみたいという彼の理想に共感し、ともに立ち向かうことを決める。かくして、ミュータント人類の未来をかけた最初の戦いが幕を開けるのであった。

大コケした前作から再スタートを果たしたシリーズ。いわゆる新三部作です。その第一作目の舞台は冷戦時代。この時代に生きたミュータントたちの活躍を描いていきます。ウォッチメンのような緊張感を孕んだストーリーは再び緊張感を抱きつつあう世相を反映したものとなっており、それでも人類の可能性を信じるチャールズたちの戦いが大きな希望として映ります。単純な娯楽作として構成がうまく、ゲストとして登場するミュータントの能力や活躍、そして舞台となる年代を意識したスパイアクションは中々に惹かれるものがあり、X-MENシリーズの新しい門出を祝うにふさわしい展開を迎えています。しかし、旧三部作の未来へと続く本作が必ずしも明るい終わりを迎えるわけもなく、なぜ同じ理想を抱いたチャールズとエリックが袂を分かったのかについても明確な回答がなされてます。今作に限っては、ローガンを観る観ないかかわらず、多くの方に観てもらいたい作品に仕上がってます。あ、もちろんウルヴァリンも出るよ!

「X-MEN フューチャー&パスト」

2029年、ミュータントは死滅しかかってた。変幻自在の女ミュータント、ミスティークの遺伝子情報から得られたデータを基に開発された超兵器センチネルの進撃にX-MENたちは成す術もなく倒されていき、ついに全滅寸前まで追い込まれる事態に陥っていた。ここにきて、ついにプロフェッサーXとマグニートは協力関係となり、ミュータントたちの未来を救うための最後の作戦を決行するのであった。それは、過去の時代に誰かの意識を飛ばし改変を行うというもの…。失敗が許されぬその作戦はウルヴァリンに託された。そして、無事過去への時間旅行を成功させたウルヴァリンはその時代のプロフェッサーXことチャールズと出会う。しかし、ベトナム戦争によって学園の生徒たちを失ってしまった教授はすっかり腑抜けと化しており、鉄拳制裁を食らうも無気力になるばかり…。はたしてウルヴァリンはミュータントと人類を救えるのか?タイムリミットは近い。

僕の独断と偏見から判断するに、今作はいわゆる映画X-MENシリーズ中でも最高傑作といえるものとなっており、旧新を含めたすべての戦いの総決算となっています。未来を救うための過去への旅、というものはSF物でよくある展開ですが、今作の真にほめるべき点は黒歴史として葬られることが確定しかかっていた旧シリーズの設定をしっかりを補完したことにあります。いや~これは天晴です。これにより、過去と現在が明確にリンクし、前前作で雑な扱いを受けていたキャラも正当な理由で本筋への復活を果たせたという大きなメリットがありました。また、X-MENシリーズらしく舞台となる時代の出来事と世相を反映させたテーマは今作でも健在であり、今回は「傷跡」という形でキャラクターたちの心情にそれが投影されていきます。大切なものを失い続ける人生であったエリック、戦争によって大きな損失感を味わったチャールズ。この二人の関係を、ある意味では最も深くかかわってきたウルヴァリンの存在を通して語られていきます。そうして得られた回答があったからこそ未来の教授の信念が形成されている、という締めくくり方はこの手の作品ではある主理想的なものといえます。まさにウルヴァリンは過去へのメッセンジャーであり、未来の救世主であったわけです。まあその救った未来が「ローガン」における未来なんですけどね…。

「X-MEN アポカリプス」

太古のエジプトで誕生した史上最強のミュータント、「アポカリプス」が復活した。アポカリプスはその圧倒的なカリスマ性で現代に生きるミュータントたちを部下に従え、地上の侵略を図る。チャールズ率いる新世代のX-MENたちはこれに立ち向かうも大きすぎる実力の前に敗北を期し、アポカリプスの新たなる生贄としてチャールズは拉致されてしまう。絶体絶命の中、若きリーダースコット・サマーズことサイクロップスはテレパス能力を持つジーン・グレイ、瞬間移動を可能とするナイトクロウラー、そして構想移動を得意とするクイックシルバーとともに再び戦地へと赴く。はたして、彼らは勝利することが出来るか?

制作当時は新生代ミュータントたちの最後の戦うを描いた作品として大きく宣伝された本作。メインヴィランもその宣伝に見合う大物であるアポカリプスが設定されており、まさにX-MENシリーズに締めくくりを飾るにふさわしい内容になると思われていました(過去形)。う~ん、たぶんね、どこか詰めが甘いところがあるんですよ、X-MENシリーズは…。今も世界中が抱える核兵器へのアンチテーゼや、当時の文化を反映した日女病者の数々、そしてディザスタームービー級のド派手な破壊描写など、見どころは託さなるのですが、その分キャラ描写が希薄になってしまったことが惜しまれます。特にマグニート関係。今作で彼は大切な人を失ってしまいます…て、またかよ!!前作での反省もあってか、彼は平凡な生活を来るためにひっそりと生活し、家族にまで恵まれるのですが、それらをすべて失ってしまいます…。むごい、むごすぎる。失う物を妻と娘という、ある意味では母親より大きすぎるものに設定することでその切なさを倍増させ、彼の憎しみに相応の説得力を持たせよとしたのでしょうが、正直やりすぎに思えましたね。ここに描写を偏らせたせいか、ラストバトルでのどんでん返しは逆に説得力が欠けるものとなっており、全体的なテンポやヒロイズムも前作より劣っているように思えました。しかし、見どころもないわけでなく、前作に引き続き、旧三部作へと明確につながるように構成された展開やチャールズとアポカリプスとの決闘、そして(旧三部作ではスットコとまで揶揄された)スコットの大活躍は今までの汚名を払しょくするに十分なものでありました。ゆえに、X-MEN史を語る上では外せない作品として今後もひかり続けることでしょう…。

その続編が「フェニックス編」だとだれが予想できたであろうか!!

 

【番外編】 「デッドプール」

NYでトラブルシューターをしながら日銭を稼ぎ生活しているウェイド・ウィルソンは、娼婦のヴァネッサと出会い交際し始める。愛し合い結婚の約束をしたウェイドだったが、突然意識を失い病院に運ばれた結果末期がんと診断される。

ウェイドは酒場に来たリクルーターの男の誘いに乗り、がんの治療と引き換えに極秘の人体実験の被験者となることを決める。それと同時に、ヴァネッサの前から姿を消す。ウェイドは施設でフランシスというミュータントの男から細胞を変異させる薬品を投与され、変異を誘発する為に拷問を受ける。ウェイドの細胞は変異し、不死身の肉体を手に入れるが、引き換えに全身が爛れた醜い姿に変異した。意図的に火事を起こして施設から脱出したウェイドだったが、ヴァネッサが醜い自分の姿を受け入れるとは思わず、再会を避けて老婆の家に居候する。フランシスの言った言葉を頼りに元の姿に戻るため、覆面をつけて酒場で行われていた死人が出るかどうかの賭けに由来したデッドプールと名乗り、フランシスと組織につながりのある人物を襲撃する。

でた!X-MENシリーズの問題児にして奇才、デッドプール。本作は「X-MEN ZERO」にて散々な扱いを受けたそのデップーを正式に主人公とした番外編です。ことが公になったのは公開の数年前のこと、一本のテスト映像の流出が発端でした。そこに映っていたのは、原作さながらのお下品な下ネタを連発するデップーの姿と、華麗なるアクションの数々が!これだけでファンの心は(いい意味で)絶頂を迎え、早くも期待値はMAXとなりました。さて、では実際に公開された本作の方はといいますと。当初の期待をはるかに上回る映像が我々の前で連発され、原作ファン並びに初めて訪れた人々もその迫力に魅了されました。それをいくつか紹介しましょう。

まず下ネタ!これがすごかった…。R15を逆手に取った容赦のない汚らしさ(誉め言葉)は時に笑いを誘い、時に本気でドン引きするほど。次にアクション。これまた興奮の連続して、情け無用のバイオレンス描写の数々。コメディアンであり一流の傭兵である彼のイメージにはピッタリとするものでしたね。最後にメタネタ。このデッドプール、実は人体実験のショックで舞台用語でいうところの「第四の壁」を突破する力を持っており、これによって現実世界の我々を認識し自分が虚構の中の存在であることを認知することができてます。今作はそれも完全再現。完璧なポイントで披露されたそれは、あらゆる映画ネタを内包した最高のものでありました(まあちょっと細かすぎたのが玉に傷かな…)。この三つは、デッドプールというキャラクターを形成するうえで非常に重要な部分を占めており、決して万人向けではないこの要素を描写にして再現したところが今作の最大の肝であるでしょう。それでいて、正統派ヒーロー作品としても仕上がっているのが凄い。このデップーの癖がありすぎる性格と低予算を逆手にとった演出の数々、それでありながら王道(?)を地で行くスタイルはある意味では斬新であり、多くの人の心を鷲掴みにした一番の要因であると考えています。これはX-MENシリーズを観てきたすべてのファンの方に見てほしい作品ですね。

 

 

【まとめ】

ここまで八作に渡る長大なX-MENサーガを解説していましたが、正直ローガンを観たり語るに必要な知識として抑えておきたい作品は少ないです。ぶっちゃけウルヴァリンのスピンオフとX-MEN3は観なくていいです。それだけ中途半端なんですよ。ローガンの人生を語るにしても、2まででそれは完成されてると言えますし、おかれた境遇についても新三部作を見ればほぼ完ぺきに理解できます。ので、割とハードルは低いんですね。これを機に、X-MENシリーズへの興味を持ってくれる方が増えてくれることを祈っております。